にがり農法と人のご縁

2011年8月18日 @ 08:08 PM
minamigawa

9年ほど前に大豆栽培に興味をもちはじめたころ知り合いに頼みいろいろ肥料を使い家庭菜園レベルで大豆栽培の実験をしてみた。

気が付くと大豆の栽培についていろいろ調べないと気が済まなくなってきた。

ある日大豆などの豆科の植物はマグネシュムが必要とかかれている文献が目にとまった。

 

にがりの主成分は塩化マグネシュム、試しににがりを土壌や葉っぱに散布してみた。

ついでにいろいろな野菜にも散布してみたところ、おもしろいことが起こった。

白い斑点やくすんだような葉っぱが青々として元気がよくなった。

翌年 大豆商社の豆時さんにも協力をしてもらって少し広い範囲で栽培してデータを集めてみた。

効果が期待できそうだったので、2004年に思い切って三重大学を訪問し生物資源学部の梅崎教授を紹介していただき共同研究を申し込んだ。

梅崎先生からは①にがり散布地区②水のみ散布する地区③無散布地区の3種に分けて実験する必要があるとのアドバイスを受けた。これまでの素人の実験の甘さを指摘された。

三重県の農政普及室も協力してくれ、意欲のある農家探しを手伝ってくれた。

そこではじめて斉藤農場の斉藤悟さんと出会った。

2004年、3区に分けて斉藤さんの農場で実験を開始し夏ごろまで順調に進んだ

この年は台風のあたり年で複数の台風が上陸して大豆畑を直撃した。

畑はめちゃくちゃになり一番大事な時期のデータがまともにとれない状態になった。

一年を棒に振ってしまった。このとき初めて農業の厳しさを身にしみて感じた。

機械等の開発なら失敗すればすぐにやり直しがきくが自然を相手に一年で一発の勝負。

泣きたい気持ちだった。

海外の市場調査なども自分でやっていたので時間的余裕もなくやめようかとかなり迷った。

しかし農家の斉藤さん、豆屋さん、三重大学の先生等協力していただいていた皆さんを巻き込んでいたので簡単にはやめられなかった。

翌年いろいろな基礎的なデータも取れ、葉緑素が増えたり落葉が遅れる効果が確認できた。

  

またできた大豆もタンパク含有量が高く品質が安定した。

現在では散布するにがり等のミネラル液を作る技術も向上した。

栽培の基礎研究はかなり進み栽培方法も学術発表されている。

栽培マニュアルや栽培履歴なども作りトレーサビリティについても国産大豆ではかなりのレベルになった。

農地も家庭菜園に毛が生えた程度の面積から徐々に協力者が増えて約130ha(39万坪)まで広がった。

農家の方々も意識がどんどん高まり四日市地区では完全無農薬無化学肥料で大豆を栽培している。

現在米やいろいろな野菜なのでも栽培実験を行っている。

今年商標登録が認可され農家の方々とブランド戦略について真剣に話をしている。

あの時やめていたらこのつながりはなかった。


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